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言語TIPS

ロシア語の特徴(不完了体と完了体)

ロシア語は文法的に、日本語とも英語ともかなり異なる言語です。
翻訳する際にも特に注意すべきは、こうした日本語と全く異なる点ではないでしょうか。

特に日本人にとって馴染みのない文法的な特徴の1つが、動詞の「体(アスペクト)」という概念です。ロシア語の多くの動詞には、同じ動作を表す単語が2種類(不完了体/完了体)ずつ存在します。

例えば「見る」という動作なら、
1. смотреть(スマトリェーチ)… 不完了体
2. посмотреть(パスマトリェーチ)… 完了体
という2種類の単語が対になっています。

不完了体と完了体

では、不完了体と完了体、2つの動詞の違いはなんでしょうか?
基本的に不完了体(смотреть)は反復される動作、動作の過程、動作があった事実などを表す際に用いられます。
例えば「私は毎日映画を観ます」(Я каждый день смотрю фильмы.)という文章なら、反復される動作になるため、動詞は不完了体になります。
一方、完了体(посмотреть)は一度限りの動作や、動作が終わったことに焦点を当てる際に用いられます。
例えば「この映画は一見の価値がありますよ」(Вам стоит посмотреть этот фильм.)という文章なら、一度限りの動作になるため完了体が適切です。

こうした違いは日本語では明確でないので、日本語母語話者にとっては、なかなか感覚的に理解しづらい概念です。
また、不完了体・完了体の存在により、同じ動作について覚えなければいけない単語が、英語と比べても単純計算で2倍あることになります。
この点がロシア語学習の難しさの1つと言えるでしょう。

さらにロシア語学習者を混乱させることは、不完了体動詞も完了体動詞も、主語の種類(人称・性別・単数複数)によって何通りにも変化するということです。
英語だと原形・過去形・過去分詞形・現在分詞形の4種類ですから、ロシア語の動詞の変化がいかに複雑かお分かりいただけると思います。
翻訳の際にも、この不完了体/完了体の違いに気を配り、正しい日本語を選ばなければ、思わぬ誤訳をすることになりかねません。

まとめ

今回は特にロシア語文法の中から、動詞の体(アスペクト)についてご紹介しました。
翻訳元の言語と翻訳先の言語の文法的な違いを理解し、さまざまな言葉から適切な表現を選ぶこと、それが翻訳の難しさでもあると同時に、翻訳の醍醐味でもあると言えます。

P&Sでは、今回ご紹介した不完了体・完了体についても、徹底したネイティブチェックにより正確に翻訳させていただきます。
ロシア語翻訳をお考えの際はどうぞお気軽にご相談ください。